日南町では、阿毘縁菅沢線拡幅工事中に発見された5世紀初頭とみられる印賀6号墳の中から、27センチメートルの直刀が発見されたが分析の結果、原料鉄は外国産と判明した。一般に日野町の横穴墓などの古墳から古代の鉄製品が出土することが多い。 西伯郡伯耆町では、国道181号線岸本バイパスの道路改良工事が計画され、平成 19年度には埋蔵文化財の発掘調査が実施された。そのうち特に伯耆町や坂長の第6遺跡からは、鍛冶工房遺跡から大量の鉄製品、鉄滓などが出土したが、この 遺跡は古代の会見郡営の官営工房であった可能性が高まった。 平安時代の伯耆国鉄生産は9世紀に調として鉄鋌(てつてい)・鍬を出し、庸として鍬を中央に差し出した記録が延喜式にある。また1073年から20年間に東大寺封物として4340鋌 もの鉄を全国の中で伯耆国のみ差し出していることが平安遺文にあることは、平安時代伯耆国は一大製鉄地であったことが窺われる。このことは、国道9号線の バイパス建設工事に伴う発掘で、大山北東部の東伯耆で22か所もの農具など生産する鍛冶遺跡が発見されたことも関連があると考えられる。 |
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たたら研究会員・郷土史研究家 影山 猛 氏