日本の弥生時代から古墳時代初期までに使用され、現在まで残った鉄は、その含む諸元素、諸金属から大陸から渡来した鉄素材であることがわかっている。日本固有の砂鉄または鉄鉱石を使用した鉄生産を始めたのは発掘などから6世紀後半とされている。

 日本のたたら(鑪・鈩)の文字使用も古く、8世紀初期の『日本書紀』(721年神代巻上)に「蹈鞴(ふいご)、此云―多多羅(たたら)」とあり、同時期の古事記にも「タタラ」の文字が使用されている。
 しかし現在今のたたらと同じ製鉄施設とは異なるものと考えられる。 たたらによって生産された鉄鋼の特性は、近代的高炉のように石炭は使用せず、炭を還元に使用して低温還元、溶解をするので、不純、有害元素の混入がみられず、刃物などに使用するには最高の鉄鋼が出来ることである。鉄は金属として地球に最も多く存在するが、この鉄の使用によって農産物の増収、また商工業の目覚しく発達したことは計り知れない。

 また鉄は高温で有する硬い組織を急冷することで、常温でもその硬さを保持する焼き入れが出来るので、刃物、農工業用の道具にはこの熱処理が施してある。 また鉄は他の金属との融合が広範囲に出来、ステンレス其他有用な合金となる。